ジョン・レノン最期のメガネ

1980年12月8日、ニューヨーク、ダコタハウス前で凶弾に倒れたジョン・レノン。
その時に掛けていたメガネが、2002年11月から2003年3月31日まで、さいたま市のジョン・レノン・ミュージアムに特別展示されていました。

 

1981年、ヨーコ・オノ名義で発表されたアルバム「シーズン・オブ・グラス」のアルバムカバーは、そのメガネを事件当日のままの状態で撮影されたものですが驚いたことに今日までその状態のまま保存されていたものが今回、特別に展示されました。

1979年の夏、来日した際にレノン夫妻の行きつけのブティック「ミルクボーイ」店内にあったサングラスを いたく気に入ったジョンはそのオーナーの親友であり、そのサングラスをデザインした白山眼鏡店社長、白山將視氏を紹介されました。

ジョンは自分が足を運ぶことでおこる混乱を予期して白山眼鏡店本店に行くのを断念し代わりにホテルオークラの部屋に白山氏とブティックオーナーを招き、フレームとレンズカラーを選びました。

多数日本に持参していたメガネの中から、見え具合が良いものを白山氏が持ち帰り、その度数で後日、白山氏がフィッティングして納品したとのこと。

ジョンがオーダーしたのは、白山眼鏡店オリジナルの"メイフェア"の色違い3本(クリア、クリアイエロー、鼈甲柄)と、持参していたフレームのレンズ交換でした。

そして、その中のクリアのメイフェアが"最期のメガネ"となってしまいました。。

ジョン・レノン・ミュージアム特別展「ジョン・レノン最期の遺品」に出展されたメイフェア。

このメイフェアはセルロイド製で、カラーは微妙に赤みがかった透明でしたが、経年変化によりキハクのように黄色に変色しています。

左右のテンプルの内側に「白山眼鏡店」の刻印がありますが当時、刻印は工場からの納品後に店内で一方のテンプルの内側へ熱した凸型で打っていたため、23年ぶりにこのメイフェアと対面した白山氏も予想外だったらしく、なぜ両方に刻印があるのか、今となっては分からないとのことでした。

レンズは淡いブルーのガラスレンズで、ニコンのソフルックスS1です(現在は製造中止)。

事件の衝撃によりレンズが割れたと書かれている本もありますが、レンズ、フレームとも激しい衝撃によるダメージは見当たりませんが、セルロイド製のフレームは劣化のためテンプルエンドが欠けてしまっていました。

そしてなによりも、血痕はそのまま事件の生々しい状況を物語っています。

2003年1月 THE EYES(興隆出版社)より

 

注:この記事は2003年1月に旧勤務先Webサイト上に書いた記事ですが、興隆出版社の許可を得て掲載しました。

※ ジョン・レノン・ミュージアムは、2010年9月に閉館しました。

 

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